
愛犬の健康診断の結果報告書で「BUN(尿素窒素)」の項目に「高」の記号がついていると、不安を感じる飼い主の方も多いのではないでしょうか。
特に言葉で不調を伝えることができない犬だからこそ、基準値から外れた数値を見ると「何か重い病気なのではないか」と心配になります。
ですが、血液検査において「クレアチニン(Cre)は正常なのに、BUNだけがわずかに基準値を上回る」という現象は、動物臨床の現場で非常によく見られるケースです。
これには腎臓の疾患だけでなく、日々の食事内容や水分摂取量、体質といった生活習慣に起因する生理学的なメカニズムが大きく関係しています。
この記事では、生命科学修士の筆者DPが、犬の血液検査におけるBUNやグロブリンの数値が意味する生理学的背景を分かりやすく解説します。数値の正しい見方を知り、家庭で実践できる具体的なケア方法を確認していきましょう。
※読者のみなさまへ
本記事にはアフィリエイト広告が含まれています。情報の分かりやすさを追求するため、図解やイメージにAIを用いることがありますが、内容は6人家族でのリアルな実体験と客観的なデータに基づいています。理系専門職としての分析視点を掛け合わせ、忖度のない情報をお届けします。読者の皆さんと、大切な家族の暮らしが、この記事を通じて豊かになるきっかけになれば幸いです。
1. 犬の健康診断における「血液検査」の重要性と不安
犬の1年は人間の約4〜5年に相当します。見た目には元気そうに見えても、体内では少しずつ変化が進行していることがあります。
特にジャックラッセルテリアのように活発で痛みを表に出しにくい犬種では、日常の観察だけで初期の異変を察知するのは困難です。
そのため、定期的な血液検査(Chem16やCBCなどのセット検査)は、病気の早期発見だけでなく「その子自身の健康時のベースライン(基準値)」を把握するために極めて重要となります。
検査結果で基準値外の数値を見つけた際、以下のような不安や疑問を持つ方も多いはずです。
- ネット検索で深刻な病名が出てきて不安になる
- すぐに病院を変えたり療法食に切り替えるべきか迷う
- 元気で食欲もあるのに数値が乱れる原因を知りたい
こうした疑問を解消するには、ネット上の情報に振り回されるのではなく、血液中の成分や代謝の仕組みを論理的に理解することが大切です。
2. 実例から学ぶ:血液検査結果の具体的な読み解き
実際の犬の血液検査データを参考に、どこに注目すべきかを整理します。我が家の愛犬アルティとマックスが同条件で受けた検査結果を比較しながら解説します。
アルティの検査結果:全項目基準値内の「完全健康体」


1頭目のアルティのデータ(健康診断Chem16およびCBCセット)では、すべての項目が参考基準値内に収まっていました。
- 肝機能指標(ALT、ALP、GGT):すべて中央値付近で安定
- 腎機能指標(BUN、Cre、IDEXX SDMA):すべて基準値内
- 赤血球系・白血球系(CBC):貧血や炎症の兆候なし
アルティのデータは、現在の飼育環境、食事、水分バランスが体質にマッチしていることを示す理想的なベースラインです。今後の健康管理において、比較の基準として活用できます。
マックスの検査結果:BUNの軽度上昇とグロブリンの軽度低下


一方で、同日に検査を行ったマックスのデータには、2つの変動が見られました。
- BUN(尿素窒素):31 mg/dL(参考基準値:9〜30)⇒ 【高】
- グロブリン(Glob):2.0 g/dL(参考基準値:2.1〜4.3)⇒ 【低】
ただし、その他の主要な数値(クレアチニン、SDMA、ALT、ALP)や、CBC(赤血球数、白血球数、血小板数など)はすべて基準値内でした。
獣医師から「大きな異常はなく様子見で問題ない」と説明されるのは、他の決定的な数値が正常であるという全体像があるためです。
3. 生命科学修士が解説する生理学的メカニズム
血液検査の数値は体内の代謝結果を示しています。BUNとグロブリンが変動する理由を代謝レベルで紐解きます。
BUN(尿素窒素)だけが少し高い原因①:タンパク質の代謝動態
BUN(Blood Urea Nitrogen)は、体内でタンパク質が分解された際に生じるアンモニアを、肝臓が毒性の低い「尿素」に代謝したものです。この尿素は血液経由で腎臓へ運ばれ、尿として排泄されます。
腎機能が低下すると排泄が進まずBUNが高くなりますが、「腎臓病だけがBUNを上げる原因ではない」という点が重要です。BUNの数値は食事由来のタンパク質量や代謝のタイミングによって変動します。
【ドッグフード(タンパク質)の摂取】
↓(消化管での吸収・アミノ酸への分解)
【肝臓での代謝(オルニチン回路)】
↓
【血液中の尿素(BUN)の一時的上昇】 ※食事のタイミングで変動
↓(腎臓からの排泄)
以下のような条件下では、腎機能が正常であってもBUNが31〜35 mg/dL程度まで軽度上昇することがあります。
- 高タンパクなフードやジャーキーなどのおやつを日常的に食べている
- 検査の数時間前に食事を摂取した(食後高尿素血症)
- 消化管内での軽度なタンパク質代謝の亢進
マックスの場合、腎機能の精密な指標であるクレアチニン(Cre)や早期マーカーの「IDEXX SDMA」が完全に正常であるため、慢性腎臓病(CKD)の可能性は低いと考えられます。我が家でも高タンパクフードやお肉のおやつを与える機会が多いため、その影響が出たと考えられます。
BUN(尿素窒素)だけが少し高い原因②:微細な「脱水」と腎前性高窒素血症
もう一つの要因は、一時的な水分不足による「脱水」です。これを医学的に「腎前性(じんぜんせい)高窒素血症」の初期段階と呼びます。
水分が不足すると血液量が減少し、腎臓への血流量が低下します。すると腎臓は水分を保持するために尿を濃縮し、尿素を血液中へ再吸収する割合を高めます。その結果、腎臓自体に問題がなくてもBUN数値が上昇します。
活発に動く犬種や夏場などは、見た目に現れない程度の軽度な脱水に陥りやすくなります。CBC検査のヘマトクリット値(HCT:アルティ50.3%、マックス52.6%)を見ると、マックスは基準値内(38.3〜56.5%)でありつつもやや高めの位置にあり、わずかに水分を求めている状態(血液濃縮)であったことがうかがえます。
グロブリン(Glob)がわずかに低い理由
グロブリンは総蛋白(TP)からアルブミン(Alb)を除いた成分で、主に免疫に関わる抗体で構成されています。
マックスのグロブリンは参考基準値(2.1〜4.3)より0.1低い2.0 g/dLでした。大幅な低下は免疫不全やタンパク漏出が疑われますが、総蛋白(5.5 g/dL)やアルブミン(3.5 g/dL)、白血球の内訳が良好な基準値内である場合、臨床的には個体差や測定時のわずかな誤差、日内変動の範囲内と判断されます。
アレルギーや体内の炎症がないクリーンな状態を維持できている場合、グロブリンが過剰生成されず低めの数値を示すことがあります。過度に心配する必要はなく、これが現在のベースラインであると解釈できます。
4. 専門機関の知見から見る「予防医療」の重要性
ヒトの健康指針においても、単一の数値判定だけでなく、個人ごとの経時的な変化(トレンド)を把握し予防に繋げることが推奨されています。これはペットの医療でも同様です。
大切なのは基準値を超えたかどうかだけに一喜一憂するのではなく、過去の数値からどのように推移しているかという個体内の動態を追うことです。
半年〜1年後の再検査でBUNが31前後で安定し、クレアチニンやSDMAが低いままであれば、それがその子の「正常値」と判断できます。逆に数値が段階的に上昇する場合は早期アプローチが必要となるため、定期健診を継続することが最大の予防となります。
5. 多人数家族とペットとの暮らし:家庭内での環境管理と工夫
複数のペットや家族が暮らす環境では、全員の健康を守るために環境管理の工夫が必要です。
例えば季節の変わり目や夏場の空調管理において、人間には心地よい風も、床近くで過ごす犬にとっては冷えすぎたり空気を乾燥させて水分不足の原因になったりします。
精密な温度管理が必要な小動物との暮らしや夏場の空調管理については、以下の記事で解説しています。

また、愛犬たちが快適に過ごすための室内環境づくりや愛犬との生活については、こちらの記事も参考にしてください。
JRTサマーカットの料金とデメリットは?愛犬2匹の体験と暑さ対策

6. 愛犬のBUN数値を安定させ健康を守る3つの具体的ケア
BUNの数値傾向を踏まえ、日常で実践できるケアを3つ紹介します。
① 「質の高い水分補給」の仕組み化
脱水を防ぎ腎血流を健やかに保つには、自発的に水を飲みたくなる環境作りが効果的です。
- 水飲み場を複数設置:生活動線に合わせて廊下やケージ付近にも配置する
- 自動給水器の活用:流れる水を好む習慣を利用し、飲水量を増やす
- ウェットフードやスープの利用:ドライフードに水分やスープを足して食事から水分補給する
② 食事(タンパク質)の「質」とバランスの見直し
BUN対策のために極端にタンパク質を減らす必要はありません。重要なのはタンパク質の「質(消化吸収率)」です。
- 良質な素材を主原料としたフード選び:消化吸収率が高い生馬肉や生鶏肉などを主原料としたフード(例えば、無添加で消化に優れたドッグフード工房など)は、体内で無駄なアンモニア(老廃物)を作りにくいため、肝臓や腎臓への余計な代謝負担を抑えることができます。
- おやつ(ジャーキー類)の与えすぎに注意:お肉の乾燥ジャーキーは高タンパク・高リンの傾向があります。与える際は細かくちぎるか、水分量の多い野菜やゼリー等に置き換える工夫が有効です。
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③ 次回検査に向けた条件コントロール
数値の純粋な比較を行うため、次回検査時は以下の条件を揃えることが推奨されます。
- 12時間の絶食状態で採血する:食後高尿素血症の影響を排除するため、水のみの状態で受診する
- 直前の激しい運動を避ける:運動による一過性の脱水や代謝亢進を防ぐため、検査前は静かに過ごさせる
7. プレミアムフード・ケア用品の比較
愛犬の健康維持に役立つ食事やケア環境の選択肢を一覧表にまとめました。
| 対策・フード | 主な特徴とメリット | 注意点・懸念点 | こんなわんちゃんにおすすめ |
|---|---|---|---|
| ドッグフード工房 (生肉主原料フード) | 生の馬肉・鶏肉を使用し消化吸収率が抜群。体内で無駄な老廃物(アンモニア)を作りにくく内臓負担を軽減。 | 市販フードより価格帯が高めで、保管管理が必要。 | 内臓への代謝負担を抑えつつ、良質なタンパク質をしっかり摂らせたい場合。 |
| ミシュワン (プレミアムフード) | 小型犬も食べやすい小粒設計。高い食いつきと関節・毛並みケア成分をバランスよく配合。 | 大容量パックがないため中・大型犬では消費が早い。 | 小粒を好む子や、食いつきの良さと関節ケアを同時に求めたい場合。 |
| 循環式自動給水器 | 水流が飲水本能を刺激し、日中の自発的な飲水量が自然に増加する。 | 定期的なフィルター交換とお手入れが必要。 | 水を飲む量が少ないと感じる子や留守番時間が長い場合。 |
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8. 犬の血液検査に関するよくある疑問(Q&A)
Q1:BUNが31でクレアチニンが1.0の場合、すぐに腎臓病の療法食に変えるべきですか?
A1:自己判断で療法食に変更するのは避けてください。腎臓病の療法食はタンパク質やリンが大きく制限されています。腎機能(Cre、SDMA)が正常な犬が摂取すると、筋肉量の減少や免疫低下につながる恐れがあります。まずは水分補給やおやつの見直しを行い、次回の検査で獣医師と相談してください。
Q2:ネット通販でフードや給水器を揃えるメリットは何ですか?
A2:自宅まで配送されるため、重いフードを運ぶ手間が省け、定期便などを利用することで継続的な管理がしやすくなります。浮いた時間を愛犬とのコミュニケーションやケアの時間に充てることができます。
Q3:健康診断を受ける適切な頻度はどれくらいですか?
A3:成犬であれば年に1回、シニア期(7歳以降)や気になる数値があった場合は半年に1回が目安です。数値の変化を捉えるために継続的な受診をおすすめします。
9. 家族全員の健やかで明るい未来のために


定期的に健康診断を受け、数値の変化に気を配ることは愛犬への大切なケアの一環です。
血液検査の数値は不安を煽るものではなく、愛犬の今の状態を知るためのサインです。水分補給の工夫や食事の調整など、今日からできるアプローチを取り入れながら、愛犬との健やかな生活を続けていきましょう。
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